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ラ・トゥーレット修道院

ラ・トゥーレット修道院(世界遺産)
フランス・リヨン郊外(1958年)
設計:ル・コルビュジエ

ドミニコ会修道院であるラ・トゥーレット修道院は、日本を含む計7か国が共同推薦し世界文化遺産として2016年に登録された「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の17件に含まれるル・コルビュジエの作品の中でもより重要な作品になります。

ラ・トゥーレット修道院 外観1 Photo by @hiromitsu.abe.7

ラ・トゥーレット修道院は、ドミニコ会の神学生のための教育施設として建設されました。生活と宗教という二つのプログラムを、集団生活のための場と祈りのための宗教的な場の一体化を図ることで実行できるようにしています。

ラ・トゥーレット修道院 スケッチ1 Sketch by @hiromitsu.abe.7

郊外の丘陵地に立地しており、建物は斜面からたちあがる板状の柱により浮かぶようにピロティが計画されています。

ラ・トゥーレット修道院 外観2 Photo by @hiromitsu.abe.7

また、「コの字型」に囲む矩形の建物と教会堂のゾーニングにより中庭を造りだしています。

建物の構成は、修道士の僧房、参事会室、図書室、食堂、厨房、アトリウム等の共同施設および回廊や礼拝堂等となっています。

ラ・トゥーレット修道院 礼拝堂内部1 Photo by @hiromitsu.abe.7

 

ラ・トゥーレット修道院 礼拝堂内部2 Photo by @hiromitsu.abe.7

開口部にさまざまな特徴があり、当時ル・コルビュジエの設計事務所で働いていた作曲家ヤニス・クセナキスが関わっていて、いろいろな寸法がモデュロールにより決定されたことでも知られています。

モデュロールはヤニス・クセナキスの発案による所が大きく、人体の寸法と黄金比から建造物の基準寸法を決定するシステムとなっています。

Max Bill, Zumikon, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由

廊下の中庭側には「波動式ガラス壁」と呼ばれる、全面のガラス壁にコンクリート製のマリオンが波のように配置されています。この「波動式ガラス壁」は、全面のガラス壁にコンクリート製のマリオンが波のように配置されたガラス壁の一種になります。この窓は、本修道院にて初めて計画されたものであり、景観と採光がテーマになっています。また、モジュールとして、モデュロールが採用されています。

ラ・トゥーレット修道院 外観3 Photo by @hiromitsu.abe.7 ピロティ上開口部:波動式ガラス壁

 

ラ・トゥーレット修道院 廊下 波動式ガラス壁 Photo by @hiromitsu.abe.7

また、通風機能に特化したスリット型の網戸入りの開口部である「アエラツゥール」も本修道院で初めて採用されており、「不規則ガラス壁」や「波動式ガラス」と併用して使用されています。

ラ・トゥーレット修道院 外観4 不規則ガラス壁 Photo by @hiromitsu.abe.7

 

ラ・トゥーレット修道院 廊下 不規則ガラス壁 Photo by @hiromitsu.abe.7

礼拝堂には「光の大砲(キャノン)」と呼ばれる非透明窓群が計画されています。これにより礼拝堂の空間に象徴性を持たせています。

ラ・トゥーレット修道院 礼拝堂 光の大砲(キャノン) Photo by @hiromitsu.abe.7

 

写真を提供いただいた @hiromitsu.abe.7 さんのスケッチです、雰囲気が出てて素敵ですね。ぜひインスタグラムの方もご覧になってください!

ラ・トゥーレット修道院 Stketch by @hiromitsu.abe.7

 

ル・コルビュジエの代表的な主な作品としては次のようなものが挙げられます。

1923年 ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸(世界遺産)
1924年 エスプリ・ヌーヴォー館
1925年 レマン湖の小さな家(母の家)(世界遺産)
1925年 ヴォワザン計画(計画案)
1927年 ヴァイセンホーフ・ジードルンクの住宅(世界遺産)
1931年 サヴォア邸(世界遺産)
1932年 スイス学生会館
1949年 クルチェット邸(世界遺産)
1951年 チャンディガールの都市計画(実現した唯一の都市計画)
1952年 マルセイユのユニテ・ダビタシオン(世界遺産)
1955年 ロンシャンの礼拝堂(世界遺産)
1956年 カップ・マルタンの休暇小屋(世界遺産)
1958年 ラ・トゥーレット修道院(世界遺産)
1959年 国立西洋美術館(基本設計、世界遺産)

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ル・コルビュジェ ラ・トゥーレット修道院−1953-60 リヨン (World Architecture)

1,257円(税込)
以下、書籍の説明文

建築界の巨匠、ル・コルビュジェが完成まで8年の歳月をかけた晩年の傑作、ラ・トゥーレット修道院(フランス・リヨン/1960年竣工)。ロマネスク建築の光を陰の織りなす空間が近代建築の手法で見事に結する建築の全体像だけででなく、キリスト教修道院建築を理解する最良の手引き。

ル・コルビュジェ(1887-1965)
スイスのラ・ショード・フォン生まれ。時計職人を養成する装飾美術学校を卒業した彼は、正規の建築家教育を受けていない。オーギュスト・ペレの事務所などに籍を置き、建築を学ぶ。1922年に事務所を設立。伝統的な石積みが主流だった第一次大戦中に復興をにらみ、スラブ、柱、階段のみの「メゾン・ドミノ」を考案。1920年代の数々の住宅建築の名作で近代建築の五原則を追及し、代表作サヴォア邸で白の時代の頂点を迎える。晩年はそれまで唱えていた建築と合理性をベースに有機的作品、ロンシャンの礼拝堂など生命感溢れる作風にいたる。今日でも多大な影響を与え続ける20世紀の巨匠。

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