ベルコリーヌ南大沢
東京都(1990年)
設計:内井昭蔵、住宅・都市整備公団
戦後の集合住宅の歴史をみると、1970年代半ばくらいまでは「標準化・量産化」の時代でしたが、高度成長期を経て「多様化・豊かさ」の時代とシフトしました。そのような中、ベルコリーヌ南大沢は誕生しました。
ここではこれまでのような「団地」ではなく「街」をつくることを強く意識されています。
ベルコリーヌとはフランス語で「美しい丘」という意味になります。対象となる敷地面積は約12万㎡あり、これを7つのブロックに分割して、各ブロックごとに建築家(ブロック・アーキテクト:6名)が設計を担当しています。また、全体をマスター・アーキテクトと呼ばれる建築家が監修しました。このマスターアーキテクトが内井昭蔵になります。
「建築家の個性を尊重しつつ、景観の統一を図り、団地を越えた街をつくる」という「仕組みのデザイン」を、住宅・都市整備公団が初めて試みた事例であり、「デザインガイドライン」によるきめ細かなデザインコントロールが実施されています。
そして、テーマである「イタリアの山岳都市」「自然の中の都市」の構想をもとに、屋根勾配や屋根や外壁の素材と色彩、サイン、植栽など、デザインコードによって、各ブロックの個性を生かしながら統一感のあるまちなみ形成が図られています。
各街区は駅からのメインアプローチとなる通りに面するタイプや、斜面に建つタイプ、中庭を囲むタイプなど、さまざまな住棟が計画されています。
ブロックの間をつなぐ歩行者動線(ミニインフラ)が計画されていますが、その歩行者動線に面した住棟は街並み参加型となっています。
内井昭蔵の代表的な主な作品としては次のようなものが挙げられます。
1969年 桜台コートビレッジ
1985年 世田谷美術館
【参考書籍のご案内】※下記リンクよりアマゾンページが別ウインドウで開きます。
続モダニズム建築の軌跡―環境へ (LIXIL出版)
内井 昭蔵 (著), 仙田 満 (監修)
3,300円(税込)
以下、書籍の説明等
池原義郎、阪田誠造、岡田新一、宮本忠長ほか13人についての論と対談を収める。物理的な空間よりも精神的な空間を、形態よりも心をつなぐ環境装置としての建築を追求してきた建築家たちのメッセージを伝える。
注(お詫びとご案内):
2023年11月10日、Amazonのアフィリエイトサービス『Amazonアソシエイト』の商品リンクを作成すツールバー機能のうち、画像リンクや画像リンクとテキストリンクがセットとなったリンクを作成する機能がなくなりました。その影響により当ブログ記事の画像リンクが使えない状態となっており、暫定的に上記のような形で参考書籍リンクを掲載しております。順次復旧させていきますが、復旧までしばらく上記リンクをご利用ください。