から傘の家
1961年、東京都
設計者:篠原一男
写真引用:www.sumaiinterior.com
から傘の家の設計者である篠原一男は、清家清の弟子にあたります。
別名キノコの家とも呼ばれるこの住宅は、7.2m角の正方形平面形状をしており、から傘の骨状の方形屋根となっています。
個人、団らん、サービスの3つの機能に分割した平面構成となっており、仕切りを開けるとほぼワンルームになります。これはいわば、昔の間取りでよく見られる田の字型プランの古い民家の土間にあったものを作ってみたいという設計者篠原の考えにより実現されています。
写真引用:www.japan-architect.co.jp
JA93号|バックナンバー|新建築 Online
篠原のこの日本の伝統的なものへの関心と考え方は、久我山の家(1954年)、から傘の家(1961年)の発表の後、白の家(1966年)に至ります。この一連の作品の中で篠原は空間の抽象化を試みておりこれらを「象徴空間」と呼んでいました。
つぎの写真は新建築1962年10月号の表紙ですがこの号は住宅特集として篠原一男「から傘の家」、坂倉準三建築研究所「正面のない家」など掲載されており、当時のトレンドがよくわかります。
写真引用:www.yama-semi.com
古書山翡翠
この当時はから傘の家のほか、正面のない家/K・H(坂倉準三建築研究所)や棟持柱の家Ⅰ・Ⅱ(清家清)など多くの著名な建築作品が世に出ている時代でした。
日本建築学会賞受賞
1971年:「未完の家」以降の一連の住宅
2005年:永年にわたる住宅論と都市論を基盤とした優れた建築の創作活動による建築界への貢献