平等院鳳凰堂(1053年、京都府)
十円玉でお馴染みの平等院鳳凰堂は、鎌倉時代に入る少し前に藤原氏により宇治の別荘を寺院とした建物です。
この頃は、豪族が勢力を誇る荘園時代で鎌倉時代に入るのはここから100年ほど先になりますが、既にこのような洗練された建築が生まれていました。
当時、貴族と呼ばれる上流階級の人々は、阿弥陀仏を拝み極楽浄土の夢をみていました。この平等院鳳凰堂もその流れを汲み、阿弥陀如来の住んでいるという極楽浄土をイメージして造られています。
この建物は阿弥陀堂ですが、一般的には「鳳凰堂」と呼ばれています。
鳳凰が翼を広げているかのような姿より江戸時代に鳳凰堂と呼ばれるようになったと言われています。
建物の中央に配置されているのが中堂になります。中堂の身舎には庇をつけず、直接裳階を取り付けています。
中堂内部には阿弥陀如来像が鎮座しており、内部の装飾は極楽浄土を表現した華麗な彫刻を見ることができます。当時は着色が施されていたことがわかっています。中堂から両側に伸びているのが翼廊、後ろに張り出しているのが尾廊になります。
手すりに見える高欄の位置を高くし、また、屋根の反りをつけ、あたかも今から羽ばたくかのような姿になっています。
南北に位置する翼廊は人が入れないほど屋根裏が低くなっていますが、これは足元も高い床を張って足の下の空間を作り、庭園の広がりを建物を通して感じるようにする視覚的な仕掛けになっています。
写真撮影:ブログ管理者