有楽苑(うらくえん)如庵(じょあん)
1617年
愛知県
写真:サイト管理者撮影2014年6月
織田有楽斎(1547-1621)は信長の実弟で茶の湯の創成期に尾張国が生んだ大茶匠です。その波瀾に富んだ生涯の晩年、有楽は武家を棄て京都建仁寺(けんにんじ)の正伝院*1)に隠棲しました。如庵はその境内に元和4年(1618)頃建てた茶室であり、現存する国宝茶席三名席の一つとして茶道史上貴重な遺構です。
旧正伝院書院は如庵に連なる隠居所であり、重要文化財に指定されています。明治以降これらの遺構は各地を転々としましたが、安住の地を犬山に得て、「有楽苑」と名づけ後世に残すこととなりました(昭和47年)。4000坪の広い苑内には、このほかに茶室元庵及び弘庵などがあります。(ここまで有楽苑説明案内より引用)
写真:サイト管理者撮影2014年6月
建物の形状の特徴として、正面が柿葺(こけらぶき)*2)の入母屋造りとなっていますが右側の庇が短くなっています。また、正面に向かって左側にアルコーブ状の庇付きの土間があり正面からみえない位置に躙口(にじりぐち)*3)があります。
内部は2畳半台目と呼ばれ、2畳半の畳と1畳の台目畳(だいめいだたみ)*4)と床(とこ)から構成される4畳半となっています。
写真:サイト管理者撮影2014年6月
窓にも特徴があり、連子窓(れんじまど)*5)や有楽窓(うらくまど)*6)のほか屋根にも突上窓*7)などがみられます。
*1)京都建仁寺(けんにんじ)の正伝院
高僧や祖師の没後に周辺に弟子が構えた居住施設等であり塔頭(たっちゅう)と呼ばれます。
*2)柿葺(こけらぶき)
薄板の小割りにした杉板やサワラ板等を葺いた屋根
*3)躙口(にじりぐち)
だれもが身分に関わらず平等であるという意図を含んだ潜り戸であり引き戸のついた小さな出入り口。
*4)台目畳(だいめいだたみ)
1畳の3/4のサイズの畳。
*5)連子窓(れんじまど)
立て格子状の窓。竹や細木等を使って適当な感覚に並べたもの。
*6)有楽窓(うらくまど)
連子窓の立て格子の間隔を密にして光の入り方を絞ったもの。
*7)突上窓
屋根につけた天窓。