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島根県芸術文化センター「グラントワ」

島根県芸術文化センター「グラントワ」
日本・島根県(2005年)
設計:内藤廣

 

島根県芸術文化センターは、「島根県立石見美術館」と「島根県立いわみ芸術劇場」の複合施設になります。

「建物は街に語りかけている」をコンセプトにしています。

様々な機能の集合体であるこの建物は、その規模からして一つの街区のようなものです。ここから益田の街の未来が広がっていきます。建物は街に語りかけているのです。ここから始めましょう、と。

「グラントワ(Grand Toit)」はフランス語で「グラン=大きい」、「トワ=屋根」の意味を持ち、島根県が誇る石州瓦をもちいた切妻(きりづま)屋根の特徴をうまく表現しています。

 

石見地域の芸術文化拠点として、美術や音楽、演劇などの分野において多様な質の高い芸術と劇場を一体とした芸術文化複合施設です。

この施設は、日本三大瓦の一つとされるとても耐候性の高い赤茶色の「石州瓦」を、屋根のみならず、壁にも仕上げ材として使用されています。

 

 

建物は平家による平面構成となっており、大ホール・展示室・小ホール・美術館ロビー・回廊・多目的ギャラリー・スタジオ1、2といった構成になっています。

中央に計画された回廊を巡らした大きな中庭により、様々な機能をまとめ上げています。中庭の大きさは45m四方となっており、中央には25m四方の鏡のように静かな水盤がありますが、イベントの状況により水を抜いて広場として使うこともできるようになっています。

 

内藤廣は海の博物館の設計で日本建築学会賞、第18回吉田五十八賞、芸術選奨新人賞美術部門などを受賞
代表的な主な作品としては次のようなものが挙げられます。

1992年 海の博物館
1997年 安曇野ちひろ美術館
1999年 牧野富太郎記念館
2002年 ちひろ美術館・東京
2005年 島根県芸術文化センター
2015年 静岡県草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」

各種受賞歴
平成19年7月20日 第48回BCS賞(建築業協会賞) 受賞
平成19年2月6日 第14回しまね景観賞大賞 受賞
平成20年9月 第14回甍賞金賞 受賞
平成20年10月 UD賞(アーバンデザイン賞)2008 受賞
平成22年10月 第12回公共建築賞・特別賞 受賞
平成25年1月 平成24年度地域創造大賞(総務大臣賞) 受賞

 

写真引用:石州瓦工業組合

国立西洋美術館本館の改修保存


国立西洋美術館本館
東京都(1959年)
設計:ル・コルビュジエ

注目!
2016年7月17日に「世界文化遺産」に決定しました。

Th National museum of western art05s3200

写真引用:ウィキペディア

フランスからの松方コレクション返還に際して建設されました。
ル・コルビュジエ*1)による基本設計ののち、弟子の前川國男坂倉準三吉阪隆正*2)らが実施設計を担当しました。

Th National museum of western art06n3200

写真引用:ウィキペディア

その後、美術館本体を保存活用するため1998年に改修工事が行われました。この際「免震レトロフィット工法」*3)が採用され、竣工時の形態を保ったまま安全性を高めています。

Th SEISMIC RETROFIT MECHANISM OF THE NATIONAL MUSEUM OF WESTERN ART TOKYO 20100321

写真引用:ウィキペディア

《ル・コルビュジエの主な作品》
◇建築作品◇
サヴォア邸(1931年)
ユニテ・ダビタシオン(1952年)
ロンシャンの礼拝堂(1955年)
ラ・トゥーレット修道院(1958年)
◇都市計画◇
300万人のための現代都市(1922年)
ユルバニスム(1924年)
ヴォアザン計画(1925年)
輝く都市(1933年)
チャンディーガル(1951年〜)唯一実現した計画
◇著作◇
建築をめざして(1923年)
モデュロール1(1948年)
モデュロール2(1955年)

*1)ル・コルビュジエ
「近代建築の三大巨匠」のひとりです。
ほかは「フランク・ロイド・ライト」と「ミース・ファン・デル・ローエ」(バウハウス3代目校長)になりますが、バウハウス設計者であり初代校長でもありヴァルター・グロピウスを加えて四大巨匠と称されることもあります。

*2)前川國男、吉阪隆正、坂倉準三
ル・コルビュジエに師事した日本人の三人の弟子です。

*3)免震レトロフィット工法
既存建物の基礎部に免震装置して耐震性能の向上を図る工法です。構造体の補強をほとんど行わなくて済むため外観デザイン等を維持することができます。
東京駅丸の内駅舎にも採用されている。

改訂:2016年7月17日

神奈川県立近代美術館

神奈川県立近代美術館
神奈川県(1951年)
設計:坂倉準三

Kamakin sakat01

写真撮影:酒徳英彦氏 2016年1月

「鎌近」の愛称で親しまれてきた美術館です。

設計者である坂倉準三*1)がフランスから帰国して、日本で事務所を開設後ひとつめの作品であり、また、日本では初めての近代美術館になります。

森に囲まれた鶴岡八幡宮の境内で、鉄骨のピロティに支えられ、軽やかなたたずまいをもつ2階建ての鉄骨造であり、中庭を囲むロの字形の平面形状が特徴的です。

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写真:サイト管理者撮影2016年1月

工業製品が多く使用されていますが、ピロティと平家池*2)の一体感による周辺の自然環境に馴染んだ場となっているほか、1階の細い柱と天井の高さは和様*3)を思わせる日本的な空間を演出しています。1階部分は池に面してピロティとなっており、水面からの光の反射が中庭まで引き寄せられ、その反射の一部はピロティの天井でゆらめきます。また、1階は中庭を含めて全体が屋外展示空間となっています。

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写真:サイト管理者撮影2016年1月

2階部分には主要な展示室等が計画されており、ここへは建物正面の階段からアプローチし、2階で受付もぎりをする動線となっています。

Kamakin terra20

写真:サイト管理者撮影2016年1月

また、中2階には学芸員室があり、ヴォールト天井のほかル・コルビュジエ*4)の提唱した水平連続窓(いわゆるリボンウィンドウ)により構成されています。なお、最終公開時には帰国後初めて使用したと言われる坂倉自身のデザインによる製図台がおかれていました。

Kamakin sakat06

写真撮影:酒徳英彦氏 2016年1月

1966年に新館が増築され、名称を神奈川県立近代美術館鎌倉館に変更されました。1999年にはDOCOMOMOの日本の近代建築20選*5)に選出されています。
なお、鎌倉館別館は大高正人*6)の設計により1984年に開館しています。
鶴岡八幡宮との敷地の借地契約が切れることより更地変換の予定でしたが、保存を求める運動により建物を保存する方向で現在検討されています。
新館の方は耐震性が確保できていないことにより解体の予定となっています.
(敷地が国指定の史跡のため新たな建築ができない立地になります。)
鎌倉館は今年、2016年1月31日閉館となりました。

*1)坂倉準三
ル・コルビュジエに師事した日本人のひとり(ほかに前川國男、吉阪隆正)。ル・コルビュジエの提唱していたピロティを中庭とともに日本で実現しています。

*2)平家池
源平池のひとつ。鶴岡八幡宮の境内へのアプローチにある太鼓橋(赤橋)の右側が源氏池、左側が平家池とよばれています。

*3)和様
鎌倉時代に中国から伝わった建築様式(大仏様、禅宗様)に対して、それまで日本で寺院建築に用いられてきた寺院建築の様式を指します。平等院鳳凰堂や浄瑠璃寺本堂などが代表例です。

*4)ル・コルビュジエ
近代建築三大巨匠と呼ばれる建築家の1人。ドミノシステムモジュロールの発案者。

*5)DOCOMOMOの日本の近代建築20選
モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織
do.co.mo.mo_japan

*6)大高正人
前川國男建築事務所出身。川添登や菊竹清訓らと共にメタボリズム運動を展開しました。都市計画家であり、広島基町再開発に関わり広島基町高層アパートの設計をしているほか、こどもの国や多摩ニュータウン、みなとみらい等多くの計画に関わっています。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
香川県(1991年)
設計:谷口吉生

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写真引用:ウィキペディア

駅前に立地する市立図書館併設の美術館である。建築と美術と都市空間が一体となった景観が特徴的であり、駅前の広場に面して壁画と一体化した展示室への入口がある。

本美術館は、交流のあった洋画家の猪熊源一郎自身より「故郷に美術館をつくるから設計してほしい」と依頼を受けて設立に至りました。
画伯からの希望は「買い物ついでに現代アートを楽しんでほしい」というものだったとのことです。
米国のランドスケープ・デザイナーのピーター・ウオーカーや都市計画かの加藤源との協働により周囲の環境と一体の美術館となりました。
(日本経済新聞「私の履歴書」より)

設計者の谷口吉生は丹下健三研究室出身*1)であり、その後、父である谷口吉郎*2)の谷口吉郎建築設計研究所所長として活動の後、谷口建築設計研究所と改名し現在に至る。ストイックなモダニズム建築の代表的な人物の一人といえる。
本美術館は1994年に村野藤吾賞を受賞しているが、ほかにも土門拳記念館*3)が吉田五十八賞(1984年)および日本芸術院賞(1987年)を受賞しているほか、東京都葛西臨海水族園が毎日芸術賞(1987年)に受賞するなど多くの受賞歴を持つ。
最近では、京都国立博物館南門(2007年)や京都国立博物館平成知新館(2014年)を設計して話題になっている。

*1)丹下健三研究室
黒川紀章や槇文彦など多くの著名な建築家を輩出した研究室。
系譜参照
http://sakuhin.info/japan/modern-j/kenchiku_sekkeisya_keihu/
*2)谷口吉郎
東宮御所や帝国劇場、ホテルオークラロビー等の設計者。博物館明治村の初代館長でもある。
*3)土門拳記念館
「古寺巡礼」などで知られている写真家である土門拳の作品を収蔵展示した記念館である。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
http://www.mimoca.org/ja/

海の博物館

海の博物館(1992年、三重県)
設計者:内藤廣(ないとうひろし)

Toba Sea Folk Museum01

1985年に収蔵資料の一部が重要有形民俗文化財*1)に指定されたことにより、文化庁の補助も利用しながら現在の場所に移転新築されました。

建物は、漁船や漁具等を展示・保管するため研究棟・収蔵庫(3棟)・展示棟(2棟)で構成されています。

収蔵品の保管状況が至適となるような配慮がいくつもなされています。
湿度を必要とする船の保管には土間を計画したり、乾燥が必要な衣服や古文書の保管には杉板仕上げなどを施しているほか、海の近くであることから塩害に対して瓦屋根としたり、シーズニング*2)を考慮してコンクリートからのアルカリ成分の影響を低く抑えるためのプレキャストコンクリートの採用といったきめ細かな対策がとられています。

Toba Sea Folk Museum03

また、木造の展示棟は壁面による展示はほとんどありません。内部空間は木造の大架構により1室空間となっています。

*1)重要有形民俗文化財
5万点を超える実物収蔵資料のうち7千点弱の重要有形民族文化材を収蔵している。
重要有形民俗文化財指定基準(文部科学省)

*2)シーズニング
展示品・収蔵品の変質・劣化防止のため、コンクリート打設後に、躯体から放散されるアルカリ質の除去を行うこと。
1万㎡規模の建設工事においてのシーズニング期間は、約20ヶ月程度である。

写真引用:ウィキペディア


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