Browse Month: 2月 2016

如庵

有楽苑(うらくえん)如庵(じょあん)
1617年
愛知県

joan01

写真:サイト管理者撮影2014年6月

織田有楽斎(1547-1621)は信長の実弟で茶の湯の創成期に尾張国が生んだ大茶匠です。その波瀾に富んだ生涯の晩年、有楽は武家を棄て京都建仁寺(けんにんじ)の正伝院*1)に隠棲しました。如庵はその境内に元和4年(1618)頃建てた茶室であり、現存する国宝茶席三名席の一つとして茶道史上貴重な遺構です。

旧正伝院書院は如庵に連なる隠居所であり、重要文化財に指定されています。明治以降これらの遺構は各地を転々としましたが、安住の地を犬山に得て、「有楽苑」と名づけ後世に残すこととなりました(昭和47年)。4000坪の広い苑内には、このほかに茶室元庵及び弘庵などがあります。(ここまで有楽苑説明案内より引用)

joan02

写真:サイト管理者撮影2014年6月

建物の形状の特徴として、正面が柿葺(こけらぶき)*2)の入母屋造りとなっていますが右側の庇が短くなっています。また、正面に向かって左側にアルコーブ状の庇付きの土間があり正面からみえない位置に躙口(にじりぐち)*3)があります。

内部は2畳半台目と呼ばれ、2畳半の畳と1畳の台目畳(だいめいだたみ)*4)と床(とこ)から構成される4畳半となっています。

joan03

写真:サイト管理者撮影2014年6月

窓にも特徴があり、連子窓(れんじまど)*5)や有楽窓(うらくまど)*6)のほか屋根にも突上窓*7)などがみられます。

*1)京都建仁寺(けんにんじ)の正伝院
高僧や祖師の没後に周辺に弟子が構えた居住施設等であり塔頭(たっちゅう)と呼ばれます。

*2)柿葺(こけらぶき)
薄板の小割りにした杉板やサワラ板等を葺いた屋根

*3)躙口(にじりぐち)
だれもが身分に関わらず平等であるという意図を含んだ潜り戸であり引き戸のついた小さな出入り口。

*4)台目畳(だいめいだたみ)
1畳の3/4のサイズの畳。

*5)連子窓(れんじまど)
立て格子状の窓。竹や細木等を使って適当な感覚に並べたもの。

*6)有楽窓(うらくまど)
連子窓の立て格子の間隔を密にして光の入り方を絞ったもの。

*7)突上窓
屋根につけた天窓。

神奈川県立近代美術館

神奈川県立近代美術館
神奈川県(1951年)
設計:坂倉準三

Kamakin sakat01

写真撮影:酒徳英彦氏 2016年1月

「鎌近」の愛称で親しまれてきた美術館です。

設計者である坂倉準三*1)がフランスから帰国して、日本で事務所を開設後ひとつめの作品であり、また、日本では初めての近代美術館になります。

森に囲まれた鶴岡八幡宮の境内で、鉄骨のピロティに支えられ、軽やかなたたずまいをもつ2階建ての鉄骨造であり、中庭を囲むロの字形の平面形状が特徴的です。

Kamakin terra04

写真:サイト管理者撮影2016年1月

工業製品が多く使用されていますが、ピロティと平家池*2)の一体感による周辺の自然環境に馴染んだ場となっているほか、1階の細い柱と天井の高さは和様*3)を思わせる日本的な空間を演出しています。1階部分は池に面してピロティとなっており、水面からの光の反射が中庭まで引き寄せられ、その反射の一部はピロティの天井でゆらめきます。また、1階は中庭を含めて全体が屋外展示空間となっています。

Kamakin terra08

写真:サイト管理者撮影2016年1月

2階部分には主要な展示室等が計画されており、ここへは建物正面の階段からアプローチし、2階で受付もぎりをする動線となっています。

Kamakin terra20

写真:サイト管理者撮影2016年1月

また、中2階には学芸員室があり、ヴォールト天井のほかル・コルビュジエ*4)の提唱した水平連続窓(いわゆるリボンウィンドウ)により構成されています。なお、最終公開時には帰国後初めて使用したと言われる坂倉自身のデザインによる製図台がおかれていました。

Kamakin sakat06

写真撮影:酒徳英彦氏 2016年1月

1966年に新館が増築され、名称を神奈川県立近代美術館鎌倉館に変更されました。1999年にはDOCOMOMOの日本の近代建築20選*5)に選出されています。
なお、鎌倉館別館は大高正人*6)の設計により1984年に開館しています。
鶴岡八幡宮との敷地の借地契約が切れることより更地変換の予定でしたが、保存を求める運動により建物を保存する方向で現在検討されています。
新館の方は耐震性が確保できていないことにより解体の予定となっています.
(敷地が国指定の史跡のため新たな建築ができない立地になります。)
鎌倉館は今年、2016年1月31日閉館となりました。

*1)坂倉準三
ル・コルビュジエに師事した日本人のひとり(ほかに前川國男、吉阪隆正)。ル・コルビュジエの提唱していたピロティを中庭とともに日本で実現しています。

*2)平家池
源平池のひとつ。鶴岡八幡宮の境内へのアプローチにある太鼓橋(赤橋)の右側が源氏池、左側が平家池とよばれています。

*3)和様
鎌倉時代に中国から伝わった建築様式(大仏様、禅宗様)に対して、それまで日本で寺院建築に用いられてきた寺院建築の様式を指します。平等院鳳凰堂や浄瑠璃寺本堂などが代表例です。

*4)ル・コルビュジエ
近代建築三大巨匠と呼ばれる建築家の1人。ドミノシステムモジュロールの発案者。

*5)DOCOMOMOの日本の近代建築20選
モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織
do.co.mo.mo_japan

*6)大高正人
前川國男建築事務所出身。川添登や菊竹清訓らと共にメタボリズム運動を展開しました。都市計画家であり、広島基町再開発に関わり広島基町高層アパートの設計をしているほか、こどもの国や多摩ニュータウン、みなとみらい等多くの計画に関わっています。


Top