土浦亀城邸〈第2〉
1935年、東京都
設計:土浦亀城
東京都指定有形文化財
土浦亀城は、大倉土木株式会社(現在の大成建設)の設計部長でした。工業化や規格化をはかることを意識した乾式工法への取り組みは、大学の後輩である市浦と共に進められ、木造乾式工法として提案されました。土浦亀城自邸第1(1931年)、市浦自邸(1932年)と二人は相次いで自邸をこの木造乾式工法で設計しました。
その4年ほどのちに、土浦は自邸の第2を設計しました。
第1では、石綿スレートパネルを用い、パネル目時にはルーフパテを使用して目地を消しています。そして、断熱と防音を兼ねて籾殻を使用するといった様々な工夫を凝らしています。
第2においても、外壁は石綿スレート下地の上に白い防水セメントで仕上げられており、モダニズムらしい真っ白な箱状の外観となっています。昭和戦前の木造乾式工法によるモダニズム住宅として最も優れた作品といわれています。
敷地は南向き斜面となっており、これを巧みに生かして吹き抜けのある居間空間を中心に、地下室を含む5つのレベルで構成された豊かな内部空間が立体的に構成されています。
同時期のこのような乾式工法によるモダニズム建築への取り組みとしては、ドイツのジードルンクに強く関心を抱いていた蔵田周忠による等々力住宅地計画として4棟取り組まれています。
スキップフロアー的なワンルーム空間にみえますが、このように垂直方向に流動的な空間を生み出した作風は土浦亀城ならではといえます。
妻信子やルドルフ・シンドラー、ヴェルナー・モーザー、リチャード・ノイトラらとともにタリアセンでフランク・ロイド・ライトに学んでいます。そうそうたる顔ぶれですね。
そのほかの写真については下記をご覧いただければと思います。
住宅遺産トラスト
http://hhtrust.jp/hh/tutiura.html
写真引用: https://twitter.com/shinagawacity/status/1184006973701799941